2009724日〜25日の福岡県における

土砂災害について

200//27暫定版)

  

 篠栗町篠栗の崩壊・土石流災害         福知町上弁城の崩壊災害

 

九州大学大学院 農学研究院 森林保全学研究室

 

T.篠栗町の災害(死者2名などの被害)<N33°3727.8″、E130°3406.8″>

2009年の梅雨末期725日未明(午前2時〜早朝)に生じた、篠栗町・篠栗の土砂災害について調査を行いましたので報告します。

簡易測量にはレーザー距離計付デジタルコンパスを用い、ポータブルGPSでの定位や森林林況調査、流木調査、山中式土壌硬度計を用いた土壌硬度調査、一面せん断試験用すべり面サンプル採取、変水位透水試験用サンプル採取なども行いました。

 

気象条件:724日には梅雨前線が九州北部上空に位置し、低気圧がその上を東進してきた。その前線上の低気圧に向かって太平洋高気圧周りの暖かく湿った縁辺流が流れ込んで水蒸気を供給する不安定な気象となった。

雨量は、アメダス篠栗で崩壊発生に関連する連続雨量327.5mm2420時に73.5mm/hr19時〜20時の2時間で157.5mm/2hr

 

表層地質:古生層の三郡変成岩類(片岩類、角閃岩)で風化が激しい。

土壌層厚は2番目の崩壊滑落崖周辺で約50cm。根は1m40cmの深さまで侵入しており、土壌硬度はこの深度より下で、28mm以上、表層近くでは、17mm程度。

地形:崩壊斜面は、南西向き谷斜面(谷自体の流下方向は磁北方位321°)で雨量・地下水が多かった可能性がある。崩壊上部付近の森林斜面傾斜は20度程度。

植生:主としてヒノキ林(崩壊近傍では胸高直径40cm程度、樹高13m14m程度)。

 倒木、流木もほとんどがヒノキで20本ほどのサンプル調査の平均径は30cmであった。

発生状況:崩壊は3箇所あり、@最上流部の崩壊は崩壊土の乱れもやや少なく崩壊土はほとんど脚部に残っている(下図)。

移動方向は磁北方位276度。長さ約20m、脚部幅26m、滑落崖幅16m、滑落崖の高さ約4m(勾配約40度)、崩壊平均勾配約28度、脚部堆積部勾配約4度、堆積崩壊土のみの平均勾配は16度。

A上流から2番目の崩壊は規模が最大で、崩壊土のほとんどが流下したと思われる。移動方向は方位273度。長さ約40m、脚部幅21m、滑落崖幅18m、滑落崖の高さ約8m(勾配約55度)、崩壊平均勾配約30度。(下図)

 

 最上流部の崩壊               2番目の崩壊

 

         2番目の崩壊の滑落崖         2番目の崩壊の推定すべり面(一部は砂状に風化している)

 

B下流の1番目の崩壊は小規模で、崩壊土の多くが脚部に残っている。移動方向は方位256度。長さ約31m、脚部幅約17m、滑落崖幅約9m、滑落崖の最大高さ約3m(勾配約40度)、崩壊平均勾配約36度、脚部堆積勾配約9度。(下図)

  

      下流の1番目の崩壊     土石流流下状況(上流から見たもの)  土石流流下状況(下流から見たもの)

 

流下状況:土石流は、ほとんど2番目の崩壊土から構成されたと思われるが、流下痕跡から流下速度を推定した。計算方法は、砂防学会の山口県防府市土石流災害調査に準じて粗度係数0.1を用いてマニング式で計算する。2番目の崩壊の下流では。高さ約5mで幅18mの流下痕が見られ、渓床勾配は約20度なので、流下速度Uは約6.4m/s(約23km/hr)と計算された(上図)。 下に、簡易測量による「2番目の崩壊」から本川までの流下縦断図を示す。

   <位置図は作成中>

「2番目の崩壊」からの流下縦断図(破線は崩壊前)

 

土質強度と透水係数:整理中

 2番目の崩壊について推定すべり面付近で採取したサンプルの飽和一面せん断強度、及び飽和透水係数:整理中です。

 

U.福知町の災害(死者1名などの被害)

<堆積部N33°4231.2″、E130°4810.9″、滑落崖N33°4229.1″、E130°4815.9″>

2009年梅雨末期の724日夜午後9時過ぎに生じた、福知町の崩壊災害について調査を行いましたので報告します。

簡易測量などの調査は篠栗の災害に準じました。森林林況調査、流木調査、一面せん断試験用すべり面サンプル採取、変水位透水試験用サンプル採取なども同じく行いました。

 

気象条件:724日には梅雨前線が九州北部上空に位置し、低気圧がその上を東進してきた。その前線上の低気圧に向かって太平洋高気圧周りの暖かく湿った縁辺流が流れ込み水蒸気を供給する不安定な気象となった。

雨量は、アメダス頂吉(カグメヨシ)で崩壊発生に関係する連続雨量323.5mm2419時に68.5mm/hr18時〜19時の2時間で112mm/2hr

 

地質:古生層の秩父累層郡(粘板岩、頁岩類)で風化が激しい。

地形:崩壊斜面は、西北西向き斜面(流下方向磁北方位309°、脚部での流下方向約312°)で普段から地下水が多かった可能性がある。崩壊上部付近の森林斜面傾斜は約30度。

   滑落崖部分に作業道があり(下図)崩壊方面へ路面流下水が集まる方向(路面勾配約8度)にはなっていたが、作業道と崩壊との関係は不明。

土壌層厚は滑落崖周囲で60cm程度。土壌硬度はこの深度で2224mm90cm深度では28mm

植生:崩壊部上流は主としてスギ林(胸高直径20cm程度、樹高14m15m程度)。崩壊堆積部の始まり周辺左岸にはクスノキなどの広葉樹林とごく一部竹林がある。

 倒木、流木もスギが多いが、左岸側には広葉樹も目立つ、堆積部のスギ24本、広葉樹12本ほどのサンプル調査平均径はスギ約21cm、広葉樹も約21cmであった。

流木中の広葉樹の比率は33%程度。

 

発生状況:崩壊は大規模で、移動方向は上記のように約312度。長さ約212m、脚部幅約39m、滑落崖幅約39m、滑落崖の高さ約13m(勾配約50度)、崩壊平均勾配約28度、脚部における崩壊土の平均勾配は18度(渓床勾配は約22度)、堆積部勾配約14度、流下・堆積部出口の扇状地上流の幅約65m。(下図)

  

崩壊堆積部から上流の様子    崩壊上部(この付近の地表傾斜は26度程度)      滑落崖

  

滑落崖           推定すべり面の一部   滑落崖頂部から下流の様子

       

滑落崖付近の作業道(これより手前が滑落寸断) 中流部樹林帯による堆積(下流からの様子) 樹林帯による堆積(上流からの様子)

 

樹林への堆積:中流部左岸では広葉樹林(胸高直径19cm程度)による流下土砂堆積が見られた(上図)。その幅は最大で約15m、長さは41m程度で堆積勾配は約16度。

 流下方向との関係からか右岸側のスギ林中への堆積は見られない。

 

流下状況:脚部(堆積開始部)での流下痕跡(流下深約4.8m、幅39m、渓床勾配約26度)から、篠栗と同様に流下速度を粗度係数0.1を用いてマニング式で計算する。流下速度Uは約11.3m/s(約41km/hr)と計算された。その下流の流下堆積部では、流下痕跡(流下深約3.6m、幅45m、渓床勾配約17度)からU=8.13m/s(約29km/hr)と計算される。

 下に、簡易測量による流出先端(扇状地下端)までの簡単な流下縦断図を示す。

    <位置図は作成中>

福知町崩壊の流下縦断図(破線は崩壊前)

 

土質強度と透水係数:整理中

 推定すべり面付近で採取したサンプルの飽和一面せん断試験強度および飽和透水係数:整理中です。

 

 

 

以上です。(筆責 久保田)

 

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