Monologue

21言目:コーヒーと野球

野球を通して人間性の向上を目指します!

こういうスローガンを掲げているチームを見ると正直、違和感を覚えます。

確かに野球に取り組んだ際の副次的な結果として人間性が向上することは多いですが、あくまで野球は目的であり、手段ではありません。上記の言葉には、指導者のエゴ、そして野球をさせることに否定的な保護者に対しての言い訳の如き胡散臭さを感じます。少なくとも私は選手時代に人間性を向上させるために野球をやっていたわけではありません。野球がやりたいからやっていました。今現役の皆さんも恐らくそうでしょう。

これに関連し、1985(昭和60)年に発行された九大野球部創部70周年記念誌に寄稿された、第6代部長の林 禎二郎先生の文章を紹介してみます。


大学のサークルへの期待は人間形成にある。故に部生活は楽しかるべきものとして、ハード・トレーニングを否定する人も多いが、賛成できない。(中略)人間形成などと固いことを書いてきたが、誤解があるといけないので、最後に課外活動の本質について触れておく。課外活動による人づくりは、あくまでも結果であって、目的ではない。好きだから野球をやった。勝ちたいので、ハード・トレーニングにも耐えてきた。(以下略)

35年前に書かれたものですが、今でも林先生のお考えのとおりだと私も思います。

さて、そろそろタイトルと関連させます。

コーヒー業界で最も有名な企業のひとつであるスターバックス。その元役員であるハワード・ビーハー氏はこのような名言を残しているそうです。

私たちはコーヒービジネスを通じて人に奉仕する会社ではない。人を相手にしたビジネスとしてコーヒーを提供しているのだ。

当時、アメリカで単なる眠気覚ましに過ぎなかったコーヒーを「くつろげる環境で楽しめる、濃厚な純然たるコーヒー」へと変えることがスターバックスの設立時の使命であったそうです。そのなかで「洗練されたコーヒーを楽しむための環境」を追求した結果のひとつとして、顧客との交流を大切にしているのです。大切な要素ですが、顧客と交流することは目的ではなく手段なのです。決して逆ではないのです。少しややこしいですが、そこには大きな違いがあります。

現在の方針は分かりませんが、少なくとも設立時にその信念に忠実に取り組み続けた結果として、人々の支持、熱烈なファンを得ることができたのではないでしょうか。

若干スターバックスの宣伝のようになりましたが、我々も野球に対して誠実であり続けたいものです。

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