Monologue

31言目:これだけはしてはいけない、成功しない投手の5つの特徴

前回からだいぶ時間があいてしまいました。

大学も徐々に制限が緩和され、少しずつではありますがグラウンドにも活気が戻ってきました。

さて、前回の続きです。私自身の現役時代及びコーチの経験を基に、これだけはしてはいけない投手の特徴を5つにまとめました。

1.トレーニングのバランスが上肢に偏り過ぎる

2.フォームのチェックポイントが多過ぎる

3.「良い球を投げること」しか考えていない

4.人の話を聞かない

5.打たれてすぐヘコむ

以下、1つずつ細かく説明していきます。

今回はかなり長いです。まぁひとりごとなので、ダラダラと書いてみましょう。


1.トレーニングのバランスが上肢に偏り過ぎる

はい、これは現役時代の私です。(笑)

ただし、誤解のないよう言っておきますが、下肢のトレーニングや走り込みも当然やっていました。しかし、それ以上に上肢のトレーニングをやり、体幹は人の3倍やっていました。

当時は「『上肢ばかりするとバランスを崩す』という球界の常識を覆す」というよく分からない気概を持ってトレーニングに取り組んでいましたが、やはりダメでしたね。(笑)

結局のところ、下肢より上肢の方が追い込みやすいんです。自分では頑張っているつもりでも、結局は楽な方に流れていただけです。

どうやらトレーニングのバランスについては、球界の常識が正しいようです。

勿論、正しい上肢のトレーニングは絶対に行うべきですが、私のようにやり方を間違えると、制球に支障をきたしピッチングになりません。

「良い投手は尻がでかい」という昔からの格言に従い、下半身デブを目指して頑張ってください。


2.フォームのチェックポイントが多過ぎる

少し昔、野球の技術書や雑誌のなかで、フォームの連続写真による解説が流行っていた頃に陥りがちだった失敗例だと思います。

連続写真を参考にする余り、自分のフォームも連続写真のように捉え、

「このフェーズではこの形、このフェーズではこの形、、、」という意識が強過ぎて、その結果なんだかぎこちないカクカクしたフォームが出来上がる。

フォームを静止画的に捉えてしまった典型的な失敗例です。

今は動画が主流なので、そういう失敗は少なくなってきているかもしれませんが、いずれにしても、フォームのチェックポイントが多過ぎるのは考えものです。

勿論、投げていくなかで肘が下がってきたり身体が開いてくるなど、フォームが崩れてきた時の修正ポイントを備えておくことは大切です。

しかしながら、投球時には他に思考すべきことがいくつもあります。(詳しくは次で述べます。)

フォームのことばかり考えている余裕はそんなにないはずです。

チェックポイントは多くても2、3個に留めておくべきでしょう。

一流の投手、元ヤクルトの安田猛さんのご指導も非常にシンプルで分かりやすい

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3.「良い球を投げること」しか考えていない

投手である以上、良い球を追究し続ける姿勢は大変結構です。

ただ、「『良い球』を投げること」にしか主眼を置いていない人を見ると、「やり投げの選手じゃないんだからさぁ」とボヤきたくなります。

無論、やり投げの選手を蔑視する意図はありません。

やり投げの選手は、誰よりも遠くへ投げることが競技の最大の目的であり、そのために自らの体技心を極限まで鍛え上げています。

一方、投手の最大の目的は何でしょう?

それは「打者を抑えること」であり、「チームを勝利に導くこと」です。

「良い球を投げること」は、そのための要素の1つに過ぎません。

その事実に目を背け、「良い球を投げること」だけが目的になり始めたら、もはや投手とは呼べません。

最近は、プロにもそんな投手がいるように見えるのが大変残念です。

私が現役投手の必読書だと思っている本があります。

それは、元カープの黒田博樹さんが現役バリバリのメジャーリーガーの時に出版された『クオリティピッチング』です。

この本を読むと、一流の投手がマウンドでどれほど高度な思考をしているかを思い知ります。

試合で投げる時には、思考すべきことが山程あります。

普段、「良い球を投げること」しか考えていない投手が、試合になっていきなり配球や打者との駆け引きを考えながら投げることができるでしょうか?

この点については深堀りしたいことがたくさんあるので、次回以降に改めて書きます。


4.人の話を聞かない

昔から「投手はお山の大将」という言葉はありますが、それを自分に都合良く解釈し、好きなように振る舞ってばかりしている投手はまず失敗します。

典型的な例が「人の話を聞けるかどうか」です。4つに分けてみました。

①素直

②まずは一度聞いてみて、自分に合うと思ったら取り入れる

③人から話を聞いても、試そうとしない

④そもそも人から話を聞こうともしない

多くの指導者の方もおっしゃっていますが、①「素直」な選手は伸びる。と私も経験上感じています。

まぁ、何でもかんでも鵜呑みにする必要はなく、②「まずは一度聞いてみて、自分に合うと思ったら取り入れる」という姿勢であれば大変素晴らしいです。しっかり自分の軸ができていれば、自然とそういう姿勢となっていると思います。投手に限らず、一流の人のほとんどが②の姿勢ではないでしょうか。

ここからはダメな例です。

③「人から話を聞いても、試そうとしない」ですが、②と何が違うのか?と思うかもしれません。

③の人は、聞いても行動にうつす気がありません。聞くだけで満足しているのかもしれません。

たまに、「この人は、他人からアドバイスが欲しいのではなく、自分の考えが正しいことを認めて欲しいがために、人に質問しているんだろうな」と思う時もあります。

1対1で話している時、ミーティングなど大人数を相手に話している時、どちらでも言えることですが、話す側の立場からすれば、真面目に聞いているかどうかは大抵分かります。

コーチとして人前で話す機会が増えてから、特によく分かるようになりました。

皆さんも気を付けてください。

それ以上に良くないのが、④「そもそも人から話を聞こうとしない」ことです。

日本人は、自分ひとりで黙々とこなすことを美徳に感じる国民性なのかもしれません。

学校の勉強でも、「疑問点を先生に質問する」という経験をしない日本人が圧倒的に多い気もします。

いずれにせよ、人に話を聞かないことは、成長する意思が無いのと同じと私は考えます。

そういう人にこちらから無理矢理アドバイスをしても意味がないので、私は、意見を求めていない人に対しては自分の意見を無理矢理押し付けないスタイルをとっています。

社会に出た時に、人の話を聞けない人は絶対通用しません。

そもそも、人に話を聞くことで、何か不利益を被ることがあるでしょうか?

得られるものはあっても、失うものはないはずです。

自分で何も調べずにすぐに人に聞くのはダメですが、それでも聞かないよりはマシです。

人に聞く力は、絶対に身に付けておくべきスキルです。

まずは何でも聞いてみることが大切

まずは何でも聞いてみることが大切


5.打たれてすぐヘコむ

そもそも野球は、投手が7割勝つスポーツです。どんな好打者も打てて3~4割です。圧倒的に投手が有利じゃないですか?

この事実に気付かず、投げる前からビビっている投手がいますが、ビビる理由が私には理解できません。

当然、打たれる時もあります。そういう時は「10割のうち3割に当たってしまった」と思えばいいだけです。

連打を食らった時は「3割がやたらと続くなぁ(笑)」と思えばいいだけです。

結果として負けてしまっても「次はやり返してやる」と思えばいいだけじゃありませんか?

負けても次があるのが、リーグ戦形式の大学野球の良いところです。

コーチの立場になってよく思うのが、

仮に打たれても反省せずヘラヘラしている投手がいたら当然、説教の対象にはなりますが、(笑)

仮に打たれてすぐヘコんでいる投手がいたら、次の登板でも成功するイメージが湧かないので、次の登板の機会を与えづらくなるだろうなぁ、ということです。

前回も言及しましたが、打たれてすぐにヘコむ人は残念ながら投手には向いていません。

投手である以上、自信を持って堂々と!

投手である以上、自信を持って堂々と!


以上、5点について述べてみました。

野村克也さんが生前、座右の銘にされていた言葉に

「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」

というものがあります。

偶然成功することはあっても偶然失敗することはなく、必ず失敗の要因が存在するということです。

同様に、「これをやれば絶対成功する」というものはなかなかありませんが、「これをやれば絶対失敗する」というものは存在します。

それを取り除いていけば、間接的ではありますが成功に近付いていくはずです。ネガティブなアプローチに思えるかもしれませんが、着実です。

受験勉強の時に、間違えた問題を潰していく方が成績が上がっていくのと同じイメージでしょうか。

今回述べた5つのポイントが、皆さんの反面教師になれば幸いです。

 

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