Monologue

36言目:ぶつけた球を続ける

有名な話かもしれませんが、以前、読売ジャイアンツの畠投手が危険球を投げ退場となりました。そして次の試合の初球に、畠投手はインコースのストレートを投げ込みました。

その時について語る阿部選手(現・二軍監督)の動画がYoutubeにあがっておりましたので、参考までに貼ってみます。

みて欲しい箇所は、動画の13:53〜18:50です。

 
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以前、同じようなことがありました。

うちの学生の練習を見ていた時です。

2打席勝負形式のバッティング練習のなかで、あるひとりの投手(A君としましょう)が投げるのを、私は近くで見ていました。

ある打者と対戦したとき、インコースへのチェンジアップが抜けて死球になりました。

2打席勝負なので、同じ打者がそのまま2打席目に入ったのですが、その初球、A君は捕手のサインに何度も首を振りました。

私も「何を投げたいのかなぁ」と見ていました。

彼が選択したのは、ぶつけた球と同じインコースのチェンジアップでした。

たいしたもんだなぁ、と思いました。

私がそう思ったのは、負けん気がすごいとか強気な姿勢がいい、という理由だけではありません。(勿論、それも投手として大切な要素のひとつではありますが)

そもそも、内角=強気外角=逃げ、という安直な二項対立は、いかにも素人的な考えで私は好きではありません。

(上の動画のなかで、阿部選手や小林選手もそう語っています)

余談ですが、今回のタイトルを「ぶつけた球を続ける勇気としなかったのも、ここでは別に勇気とかいった概念は不要だからです。これを読んでいただいた若い皆さんに、「インコースに投げ込み続けることが勇気だ」という変な誤解を与えてはいけないと思ったからです。

 

話がずれました。

 

A君本人に聞いたわけではないので、ここからは私の想像です。

恐らくですが、A君は、実戦のなかで決めるべき1球を決めきれなかった自分自身に納得がいかなかったのです。

そして、自分の頭に一瞬浮かんでしまった「自分は実戦でチェンジアップを決めきれない」というセルフイメージが自分のなかに定着してしまう前に、すぐに同じ球を投げたのです。

同じ「自分自身に納得がいかない」でも、ブルペンの最後の1球を気持ちよく投げたいがために20球も費やして怒られた私と比べると、思考のレベルが数段上だ、ということを感覚的に理解していただければOKです。(笑)

実際に打者を相手にしたとき、「ぶつけるかも」という不安が少しでもよぎってしまったら、思い切り腕は振れません。特に落ちる系の変化球は、腕が振れなければ威力は半減です。そんなことでは、いつまで経ってもその球種は実戦で使い物になりません。

また、配球面でも、「ぶつけた球種を続けない」という配球を繰り返していれば、相手には当然「ぶつけた球はもう投げてこないな」と見抜かれます。みすみす相手の考える選択肢を減らし、狙い球を絞りやすくするようなものです。

(とはいえ、いつも続けてばかりいても、それはそれで相手に見抜かれますが、、、)

A君がここまで考えていたかは分かりませんが、少なくとも、ただムキになって続けたのではなく、自分なりの意図をもって投げたのだろうと、こちらには伝わりました。実戦練習の意味合いをよく理解したうえで取り組んでいたと思います。

特定の学生をあまり褒め過ぎてもいけませんが、A君が畠投手のようないい投手に成長してくれることを楽しみにしています。

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