生理活性プロジェクト
 古来より私たち、人類は、自然の中にあるありふれたものを、生活に取り入れて生活してきました。しかし、産業革命以降の技術革新により、それまで、自然に存在しなかった化学物質を、大量に合成し、それを自然界に放出してきました。その結果、深刻な環境汚染を引き起こし、また、医薬品等の副作用で、苦しむ人々を生み出してきました。科学技術が進んだとはいえ、まだまだ、私たちは、自然から学び、そこで学んだことを、できるだけ、そのままの形で、私たちの生活に取り入れるなければならない。そのようなサイエンスが、私が考える最先端のサイエンスです。現在、もっとも遅れているサイエンスであり、我々が取り組まねばならないサイエンスの一つは、「自然にあるものを、そのままの形で、人類社会に役立てる」ことと考えてます。

自然の中には、無駄なものは、何一つありません。合成医薬品より有用なものが、自然の中には、多く残されています。古来より生活の中に取り入れられてきた、天然生薬などは、その叡智の氷山の一角です。しかし、その作用が、緩和であり、また、多機能性であるがゆえに、現在のサイエンス(選択的であったり、また、ものごとを微分していく手法が主流)では、ほとんど解明されていません。

我々は、天然素材として、キノコや植物に着目しています。もちろん、天然物であれば、全てが我々の研究テーマになります。その中には、まだまだ、隠された機能が多く残されています。それを見出すとともに、その作用発現機構を、独創的な視点で、解明し、それを、社会に還元していきたいと考えてます。そして、従来の考え方にとらわれない新たなパラダイムを確立していきたいと思います。

  最近、しばしばインドネシアなどの東南アジアなどの国に行くことがありますが、彼らは、様々な自然の叡智を生活に取り入れています。例えば、伝統的に使われてきた民族薬なども、その一つです。しかし、その叡智も、近代化の過程で、世代を経る毎に失われつつあります。古来から培われた自然の叡智を、最先端の科学的手法にて、明らかにして行く過程で、そのような自然の叡智の重要性を認知させ、その結果、多くの環境に優しい昔ながらの知見が、後世にも引き継がれていくのではないかと思います。特に、天然物のそのような機能の解明のみならず、そのような知見を、現地の人々に、広めていくことも重要なことだと考えています。

 日本は、超高齢化社会に突入しています。「少子高齢化」は、ありとあらゆる社会生活に問題を投げかけています。その一つは、医療経済の破綻です。2030年には、65歳以上の高齢者の割合は、30%を越えると言われています。3人に1人は、65歳以上の時代が目の前です。つまり、税収も低下し、保険医療の執行が困難になるわけですから、高額な最先端高度医療に替わる安価な代替医療が重要となってきます。もし、身の回りの安価に入手できる天然素材で、病気を治すことができたならば、、また、そのような知識を皆で共有できたならば、キット、役に立つはずです。そのようなことに繋がる基礎データを、身近な天然素材を材料として見いだすことができれば、、と考えてます。

 最近は、香りにも興味を深めています。香りの人に及ぼす生理・心理応答に興味があります。これまで、香りに関する多くの研究が、世界中でなされています。しかし、いまだに、香りの量的質的な、個々人に及ぼす影響については、不明な点が多く残されています。バラの香り、ヒノキの香り、その香りがどの程度あれば、人はどのように感じるのでしょうか。心理的にはどうでしょうか?脳はどのように働くのでしょうか?もちろん、好みも人それぞれです。それも含めて包括的に研究できないかしらと考えています。特に、どれだけの量の香りが存在しているのかについては、GC−MS等の分析機器を駆使して明確にしながら、心理学者や生理学者と共同で、明らかにしていきたいと考えています。だれもが経験するように、自然の香りは、私たちの生活を豊かにします。科学的な根拠を明確にして、自然の香りを私たちの生活に導入できるような、そのための研究を行いたいと思います。いまだ手探りですが、新たな分野開拓のためのチャレンジング精神のある方、ぜひ、一緒に研究しましょう。

いろいろと興味が尽きませんが、最先端の研究手法・研究成果を常に、情報として仕入れながら、しかし、それにとらわれない独自な研究を展開していくために、以下のプロジェクトを展開しています。



1、霊芝プロジェクト

 霊芝とは、世界中で研究されており、薬用キノコの中でもっとも効能に優れたキノコといわれています。私たちは、このキノコが前立腺肥大症や骨粗鬆症に有効であることをはじめて見出しました。メカニズム研究でも世界をリードしています。しかし、研究すればするほど、奥の深いキノコです。なぜ、このような優れた薬効があるのでしょうか?それを化学的、生化学的、分子生物学的、動物実験的手法、臨床試験等、多面的なアプローチにより明らかにしていきたいと思います。とても、面白い研究です。霊芝の秘密にせまっていきたいと思います。世界中の多くの研究者が、とりくんでいますが、その中で、ブレークスルーになる研究成果を挙げるために、日夜励んでいます。前立腺肥大症、骨粗鬆症のみならず、アルドースレダクターゼ阻害活性も見出しています。

2、 バイオマーカー探索プロジェクト
 様々な生活習慣病に対するバイオマーカーを、血中や尿中から、メタボローム解析技術を駆使して探します。とてもチャレンジングなプロジェクトです。もし、特異的なバイオマーカーが見出されれば、疾患の早期発見のみならず、テーラーメード機能性食品への展開のためのツールとしても考えています。

3、エリンギプロジェクト
エリンギの抽出物が、骨粗鬆症予防改善効果を有することを見出しました。では、どのような物質が、どのような作用機構で、骨密度低下抑制効果を示しているのでしょうか?明らかにするために日々、研究を進めています。

4、HMGCoAレダクターゼ阻害物質探索プロジェクト
高脂血症の予防・改善効果を有する天然素材の探索を行っています。スクリーニング→有効成分解明→動物実験により、新たな機能性素材を探索しています。

5、木材乾燥プロジェクト
木材は乾燥方法によりテルペン成分が、量的質的に変化します。どのような条件で乾燥させれば、テルペン成分を多く残すことができるでしょうか?

6、ベチバープロジェクト
ベチバーオイルは、アロマ素材として知られています。人にどのような影響をあたえるのでしょう?また、ベチバーは高い消臭効果を有します。そのメカニズムは?多機能性ベチバー素材の機能性開発を試みています。

7、香りプロジェクト
自然界には、さまざまな香りがあります。どのような香りが、人の生理・心理にどのような影響を与えるのでしょう?まだまだ、香りの研究は、混沌としています。香り研究の拠点を形成すべく様々な分野の研究者と共同研究を行いながら、チャレンジしています。(P&PプロジェクトD)

4、アンチ・プロオキシダントプロジェクト
植物の生理活性の少なくとも一部は、含有されるポリフェノール類のアンチ・プロオキシダント活性が関与している。ここでは、そのアンチ・プロオキシダントに関与するメラニン生成抑制・抗酸化・チロシナーゼ阻害等に関連するプロジェクトを展開しています。

5、美白素材開発プロジェクト
自然の中の美白素材の探索を行っています。メラニン生成を抑制する天然素材を見出すとともに、有効成分の同定、メカニズム解明にチャレンジしています。

6、育毛素材開発プロジェクト
育毛剤の開発に向けた評価系の開発ならびに同系を用いた天然素材のスクリーニング、有効成分の探索、メカニズム解析を試みています。

7、樹皮プロジェクト
樹皮は、大量に廃棄されています。新たな有効利用法が模索されています。本研究では、抗菌、消臭、抗男性ホルモン、抗酸化、美白活性等、多面的機能の開発を試みています。

上記以外にも様々なプロジェクトを展開しています。

発散的に研究をしているように思われがちですが、すべては、一つの傘のもと、研究をおこなっています。何の傘かというと、すべては、「自然と人とのインターフェース」という言葉に集約されます。

「自然と人とのインターフェース」の研究こそが、人類を幸福に導く道だと信じて、常に、新たな、自由な発想で研究を行っています。そして、新たな価値観を生み出し、新たな研究領域の拡大を目指しています。そして、ありふれた中にこそ、真に人類に役に立つ自然の知恵が存在すると信じています。

チャレンジングな研究ばかりです。やわらかい頭と、自由な発想で、楽しく、そして、厳しく、研究を行っています。一人一人の学生から研究員、ポスドクまで、日々成長することが、研究成果に繋がると信じています。

一緒に、ありとあらゆる点で、成長したいかた、お待ちしています!興味のあるかた、気軽にご連絡くださいませ。

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sffps 森羅万象学。森林圏環境資源科学講座?業績一覧?(九州大学大学院 生物資源環境科学府 森林資源科学専攻)トップページへ